2010/10/31

指紋の回収を忘れました

六本木で佐藤雅彦さんの展覧会を観てきました。タイトルから心惹かれます。

「“これも自分と認めざるをえない”展」

なんでしょうか、この気になるネーミング。
さすがは「ピタゴラスイッチ」や「だんご3兄弟」「ポリンキー」などヒット作の生みの親。
7月からやっててずっと行きたかったのですが、夏の間は猛暑に負け…ようやく秋になってもなかなかタイミングが合わず…気がつけば終了目前。

ウワサによれば非常に人気があって混んでいるらしいので、友人と「午前中の早いうちに行こう!」と作戦を練ったのにもかかわらず…まんまと私が寝坊して遅刻しました。(ごめんなさい…。)

たこの足がチョロっと出てるかわいいオブジェや…

足の裏のようなオブジェがいる道を進んでいって…

会場の「21_21 DESIGN SIGHT」に到着するとすでに行列!入場まで30分待ちでした。


ようやく中に入ると、「これは注文の多い展覧会です」というような注意書きがありました。

その言葉通り、展示を観るにあたってまずは名前を教えろと注文が。
(ニックネームでもいいけど本名だと“後でグッと来るよ”、と書いてあります)

次に「身長」と「体重」を測れと注文が!
(この数値が会場で発表される事は一切ありません、と書いてあります)

それから「虹彩」(黒目の指紋みたいなもの)も採らせろと注文が!!
(絶対悪用しませんよ、みたいな事がパンフレット等の至る所に書いてあります)

おまけに空中に大きく星を書いてみろなどと訳の分からない注文までされます!!!
(wiiのリモコンみたいなのを手に持たされます。)

これらは全てこの先の展示を楽しむための「注文」らしいです。
でも普通に展覧会を観るにはどう考えてもおかしすぎる注文です。

味わった事のない妙な気持ちを抱きながらも、この先を楽しむためなら…と次々と言われるがままに従いました。

この店に入る前の2人もこんな気持ちだったのかなぁ…。

それにしても、みんなで並んで身長やら体重を測る様子はどう見ても健康診断。
でもここは保健室でもなければ病院でもなく、ギャラリーの入り口。
この かなりシュールな光景に思わず笑っちゃいました。

展示が始まってすぐに、今度は「指紋」を採られます。
小さなセンサーみたいなものにタッチして採られた指紋は即座にデジタル化され、大きなモニターの池に放たれて泳いで行きました。
題して「指紋の池」。
こうやって集められた大勢の(?)指紋がウジャウジャ泳いでいる様子はちょっと不気味でした。

別の展示では「自分の輪郭線の長さ」を測られます。
そして「同じ長さのヒモを用意したので引っぱってみろ」って注文されます。
身長や体重とは違い、自分の輪郭なんて意識したのは生まれて初めてです。

入り口で採取した「虹彩」を使った展示では、いとも簡単に私が私だと証明されてビックリ!
巨大なスクリーンに自分の「虹彩」と名前が大きく映し出されちゃいます!

しかもその「虹彩」、自分で消さないとず~っと名前と共に表示されたままなのです。
慌てて黒板消しみたいなもので消すのですが、これが意外と大変でした。
「虹彩」って一部が欠けたくらいじゃ全然へっちゃらで、その人のものだと認識ができちゃうものらしいです。

消しても消しても「まだあなた(の虹彩)です」って機械に言われると、別に何も悪い事はしていないのにだんだん不安になってきます。早く消さなくちゃ!と、一生懸命消していって…やっと「もう あなたではありません」と言われて一安心。
(自分の存在を否定されて安心をするなんて、なんだか変な感じです。)

「身長」や「体重」や「星の書き方」を使った展示でも、次々とみんな「自分が自分」だという証明がされていきます。
どうしたことか私はこの辺は全て「自分が自分ではない」と証明されていきました。何度やっても「他人」だと認識されちゃうのです!
「一体、私は誰?」と不安になっちゃいましたが、そんな気持ちにさせるのもこの展示の目的の1つらしいです。

他にも「この穴を覗け」と注文されて1人でコッソリ覗いてみたところ、実は覗かれているのは自分の方だったり…、
この場所でのんびり休憩しろというので休憩していたら、実はその様子をコッソリ他のみんなに観察されているという…少々ドッキリな展示(?)や…

「街で見かけた人を独断と偏見で勝手にカテゴライズして並べてみました」という展示や…

小山田圭吾や椎名林檎や茂木健一郎など有名人のパソコンのデスクトップを観察できる展示などなど。←これ、すごく興味深かったです!デスクトップってこんなに個人差が出るものなのですね。
「頭の中の散らばり方」というタイトルどおり、デスクトップ=第2の頭の中みたいだな~って感じました。

1番心に残ったのが「金魚が先か、自分が先か」という展示。
小さな小屋にたった1人で閉じ込められて1枚の鏡と向き合うと「ある事」に気がつきます。
その「ある事」は人によって違うのだそうで…。
自分の事って気にしているようで、実は意外と…いや全く気にしていないのかも?ということが分かる不思議な展示でした。

最後に佐藤雅彦さんに感想のお手紙を書いて会場のポストに入れて終了。

…と思ったらサプライズが!
帰り際に自分宛に手紙が届いています。佐藤雅彦さんからです。
ほんの1~2分前にポストに入れたのにもう返事です!まるでメールみたいな早さ!

この手紙も不思議です。だってぜ~んぶ自分の筆跡で書かれているのです!
もちろん、私はこんな手紙を書いたは覚えありません。
「間違いなく自分の字なのに自分では書いてない手紙」を受け取るなんてちょっと怖いです。

整理券が必要なため体験できなかった展示も何個かあったのですが、それ以外はしっかり堪能して気がつけば3時間位は会場に居ました!他の人たちもそんな調子だったのでどうりで混む訳です。
外に出たらお客さんの行列が倍になっていました。

そうそう…「指紋の池」に放った自分の指紋はもう1度センサーに指をタッチすることで回収できたらしいのですが、そうとは知らずに残して帰って来ちゃいました。今も他のみんなの指紋と一緒に元気に泳いでいるはず……。

<おまけ> 何に見えます?

帰りに寄ったミッドタウンの「とらや」で“羊羹のたのしみ展”という面白い展示をしていまして…ほとんどの作品が本物の羊羹でできてました。
画像はお土産に買ったミナ ペルホネンの皆川明さんがデザインした羊羹です。キャンディーみたい。